事の経緯
Z会が新基幹システムの開発頓挫を受け、2017年11月に委託先である日立ソリューションズ(HISOL 資本金200億円 本社東京都品川区)を訴えた。
東京地裁は一審判決で11億円の支払いを委託先の日立ソリューションズに命じた。2022年10月に東京高裁が日立子会社の控訴を棄却し、Z会の勝訴が確定。事件の発端は、夜間のバッチ処理が終わらないというシステム不具合だった。
- Z会、システム障害で教材準備できず 最大10万人に影響 – ITmedia NEWS 2017/01/31
メディアの報道
- Z会システム訴訟、日立ソリューションズが11億円支払い – 日本経済新聞 2023/04/10
・・・Z会が基幹システム刷新のプロジェクトを始めたのは12年10月のことだった。同社は当時、顧客からの申込受付や学習用教材の作成・配送、代金回収管理などを担う旧基幹システムを30年以上使い続けていた。
既存システムの追加修正では同社が目指す教育サービスの提供は難しいと考えて刷新を計画。複数のIT(情報技術)ベンダーを比較し、日立製作所と日立コンサルティングの提案を採用した。これを受け、実際のシステム開発を受託したのがHISOLだ。
旧基幹システムは高校受験や大学受験といった業態、学年のステージごとにシステムが分散しており、一部は重複した構成となっていた。新システムではこれらを統合し、会員の状況や目的に応じたサービスを個別に提供することを目指した。新基幹システムのうち教材発送用システムなどの一部は17年1月11日から稼働を開始した。
問題が判明したのは1月13日だった。教材発送データの初回の夜間バッチ処理が午前0時30分から午前9時30分までのメンテナンス時間内に完了しなかったのだ。
HISOLが1月17日に遅延が顕著だった3つのバッチ処理を調べたところ、目標時間45分としていたものが15〜20時間かかったり、異常終了したりするものまであった。事態を重くみたZ会は1月19日に新基幹システムの利用を断念し、旧システムの継続利用を決めた。
要求性能欄は空欄だったが……
裁判で主に争点となったのは、①バッチ処理をメンテナンス時間内、すなわち9時間以内に完了させる義務をHISOLが負っていたか②不具合が致命的であり、根本的な修正が必要なものだったか③互いに情報提供義務を果たしていたか──の3点である。・・・(全文はサイトでご覧下さい)
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